気になる園児(保護者対応)

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保育中にあれ!?・・・この子もしかして・・・

 

…長く座っているのが難しい
…ルールや順番を守ることがいつも難しい

…落ち着きが他の子よりない
そういったことが度々見られると、「もしかして、発達面で何かあるかもしれない…」と、気になることがあるかもしれません。

今回は、発達障害の可能性がある園児がいた際に、どのように保護者に伝え方について、お話しができればと思います。

 

発達障害とは

まず、発達障害につい
発達障害とは、発達障害者支援法において「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
(文部科学省HP https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm

現在、発達障害には、こちらのものが含まれています。

 

2013年にアメリカ精神医学会の診断基準DSM5が変わり、アスペルガー症候群はASDに含まれることになりました。症状の出方や程度は様々で、いくつか重なっている場合もあります。

早期に支援につなげる大切さ

発達の偏りに対する支援は、なるべく早くから始められるに越したことはありません。
というのも、早い段階で適切な支援を受けられた子どもほど、高校を卒業し、社会に出てからの生活がしやすくなると分かってきているからです。反対に、なかなか支援を受けられずに育った場合、社会に適応するのが難しくなってしまうことが少なくありません。
できれば幼児期に入る(3、4歳)頃には周囲が気付き、本人が支援を受け始められること、また、保護者がその子の特性を理解し、相談できる場所につながれることが望ましいです。

ですから、その子の将来のためにも、保育士の皆さんには、障害に対する理解や、できる限りの支援を行っていただければと思います。

 

発達の特性が見えてくる時期は?

発達の偏りに周囲が気づけるタイミングはいつ頃なのでしょうか?「発達障害」と言っても障害によって、特性は様々ですから、特性があらわれやすい年齢も異なってきます。
例えば、自閉症スペクトラム場合、典型的な特性があらわれていれば2~3歳で周囲が気づくことができ、確定診断がされる場合もあります。
一方、ADHDの場合は、特性が「不注意(集中することが難しい)」「多動―衝動性(じっとしていることが難しい)」というものですから、6歳までの子どもであれば、それが通常の範囲とも言え、小学校に入ってから、授業中の離席が目立ち、気づかれるということもま

だ多いです。

 

巡回相談や診断、加配につなげるには

確定診断がなくても、対応はある程度可能です。しかし、状況によっては、配置された保育士の人数では対応が難しく、加配保育士を付けたい場合もあるでしょう。しかし、そのためには、通常、診断を受けることが必要です(自治体により基準が異なります)。
ただ、保護者が気づいていない場合に、突然、「発達の専門家に相談してみませんか?」と園側から提案したところで、上手くはいきそうにないですよね。なるべく、保護者が受け止めやすい流れを作ったうえで進めていきたいものです。
ですから、まず、保護者との協力関係を築くことが大切になってくるのです。

 

保護者と協力関係を築いていくには

次のような手順で進められることを提案いたします。
ただし、ただそのまま活用されるのではなく、あくまでモデルとしていただき、園長や主任などに相談し、ご家庭や本人の様子、園の方針などを加味したうえで進めていただければと思います。

(1)状況把握

まず、気になる園児について、どんな時に、どのように困りやすいのか、状況を確認しましょう。困った子ではなく、困っている子という視点で見ることが大切です。

関わっている他の先生にも、同じようなことがなかったか聞いてみましょう。前年度の受け持ちの先生に様子を聞くのも良いですね。

(2)園での様子を伝え、ご家庭ではどうか尋ねる

状況が把握出来たら、「園で本人が困っている様子がある」「園で安心して過ごせるように対処したい」ということを保護者に伝えましょう。
方法はお迎えの時の連絡でも良いですし、連絡帳を活用しても良いでしょう。
※この時、周囲を困らせているニュアンスで伝えてしまうと、保護者は傷ついてしまったり、場合によっては反感をかってしまったりすることもありますので、重々注意してください。

発達の偏りによる特性であれば、複数の場所(家庭、園など)で同じ様子が見られます。
もしも、園だけで見られる行動であれば、別の原因も考えられます。ただし、集団生活でのみ、見られる行動の場合もあります。

保護者自身も育てにくさを感じている場合もあり、このような問いかけをきっかけとして、様々な話をしてくれるようになるかもしれません。「もしかして…」と思いつつ、「外では問題ないなら…」と様子を見ていることもあるのです。

 

(3)ご家庭でうまくいっている方法を聞き、園でもやってみる

本人が困っている時に、ご家庭でされている工夫、切り抜け方法を聞いてみましょう。もしも、ご家庭でしている工夫がうまくいっているようなら、園でもできる範囲・形式でその方法を試してみましょう。
反対に、園でやってみて上手くいった方法があれば、保護者に伝えてみてください。

 

(4)結果、成長の様子を伝える

保護者に教えていただいた工夫が実行出来たら、その結果を保護者に共有しましょう。
特に、本人の成長が見えた場合は、必ず伝えてくださいね。自分の子どもは迷惑に思われているかもしれないという不安を、払しょくすることにもつながり、信頼関係が深まります。

ある程度信頼関係を築くことができた段階で、巡回相談や発達障害を診られる病院の受診を提案してみてください。我が子を理解してくれ、色々してくれていることが伝わっている段階であれば、スムーズに受け止めてもらいやすいでしょう。

発達障害の知識があっても受容には長い時間がかかる

以前に比べ、発達障害について知識があったり、理解を深めていたりする保護者は増えています。しかし、いざ、自分の子がそうかもしれないと気づいても、受け入れることは、なかなかすんなりとはいかないものです。

市区町村の健診で指摘がなく、保育園が初めて発達について指摘を受ける場所になる可能性も大いにあります。どのような形で伝えても、緩和はできてもショックはあることを念頭に置いておいた方が良いでしょう。

子ども達にとっては保育士の先生が人生で初めての先生になります。しっかり子どもにも寄り添って頂き、保護者との信頼関係を築き保護者にも気持ちに寄り添いながら、保育ができることを願っております。

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