「水と笑顔があふれる夏 〜保育園のプール遊びと安全への取り組み〜」
夏の陽ざしがまぶしい季節、保育園では子どもたちが楽しみにしているプール遊びが始まりますね。朝の登園時から「今日はプールある?」「水着持ってきたよ!」と嬉しそうに話す子どもたちの姿に、私たち保育士も自然と笑顔になります。
一度、保育の現場を離れたけれど、また保育士として働きたいけど・・・・という人のなかには、「また以前と同じように働けるだろうか不安で一歩が出せない人が多いと思います。
今回は、保育業界の現状を知り、復帰する際に気をつけたいポイントを整理することで、ブランクのある保育士が安心して職場復帰できる方法を確認しましょう。
保育士の現状を知ろう
今、世間で大きな話題になっているのが待機児童問題です。待機児童問題の原因は、子どもたちを預かる「施設がたりない」こと以上に、保育園で働いてくれる「保育士がたりない」ことにあると考えられています。
保育士不足の原因は、保育士資格を持つ人が少ないというよりは、保育士資格を持っているけれど保育の現場で働いていない、いわゆる「潜在保育士」が多いことです。そこで現在、政府や地方自治体が主導する形で、潜在保育士の復帰・復職を後押しする政策が繰り広げられています。
保育現場に復帰したい保育士は多い
野村総合研究所が、保育士に対して行なったアンケートによると、保育士の資格保有者のうち多くの人が保育現場で働いていないという結果が出ました。
けれども、同じ調査のなかで、現在働いていない保育士のうち、半数以上が今後保育士として働いてみたいと答えたのです。そしてその理由として、「子どもと接することが好きだから」と回答した人が多かった
このことから、今は保育士として働いていないものの、いつかはもう一度子どもにかかわる現場に復帰したいと望んでいる人が多いということがわかります。
復職を妨げる要因とは?
それなのに、実際に保育士として職場復帰する人が大幅に不足しているのはどうしてなのでしょうか。
厚生労働省が発表している
上位から順に、「子育てや家庭との両立」「労働条件、賃金、待遇」「健康、体力、気力」「仕事の負担、責任が大きい」「職場環境、人間関係」と続いています。
1子育てや家庭との両立
保育士をいったん離れた理由のひとつとしてよく挙げられるのが、結婚や出産などプライベートの環境の変化です。そのため、職場復帰にあたっても、公私のバランスがとれるかどうかが心配になるのは当然でしょう。
2労働条件、賃金、待遇
保育士の賃金は少しずつ上がってきているものの、まだほかの職種に比べると低い水準にあるのが現状です。
3健康、体力、気力
活発に動きまわる子どもたちと全力で向き合う保育士の仕事は、体力面でも負担が大きいものです。保育士の職業病ともいわれる腰痛や肩こりなども、年齢を重ねるごとに不安が増大するでしょう。
4仕事の負担、責任が大きい
保育士の仕事は子どもの命を預かる重大なものです。たとえブランクがあっても、保育の現場に出れば、その日からすぐに大きな責任を担います。
子どもが好きだからこそ、生半可な気持ちでは復帰できないと考えるのも無理はありません。
5人間関係
ブランクがある保育士が職場に復帰すると、同僚や先輩保育士が自分より年下であることがよくあります。若い保育士のなかにうまくなじめるか、良好な人間関係を築けるかなど不安を感じる人が多いでしょう。
保育士の復帰のメリット
保育園にとって、新卒の保育士の育成はもちろん大切な仕事です。けれども、保育士が大幅に不足している保育業界の現状を考えると、新卒保育士を教育するために人員を割くのは現実的に厳しい状況だといえます。
その点、現場経験のある保育士は、即戦力として期待できる貴重な存在です。たとえブランクがあっても、一度現場で働いたことがある保育士なら、基本的な仕事や基礎となる動きは多少なりとも覚えていると期待されているのです。
また、ある程度年齢を重ねた保育士のほうが保護者に安心感を与えられるというメリットがあります。
保護者の立場から見て若い保育士よりも、同世代、もしくは年齢が上で育児経験や社会経験が豊富な復職保育士からのアドバイスのほうが信頼を得やすいものです。
働き方について
働き方についても、正社員だけでなく、パートや派遣など多岐にわたります。早朝保育や延長保育、休日保育のない勤務形態での保育士の募集も増えてきました。
家事や育児などプライベートとの両立は、保育士復帰を考えるうえで避けては通れない問題となっているのです。
そして、そのうちの半数以上の人が、「勤務時間や勤務日など希望に合った働き方で働き始めること」を希望したのです。
このような点を考慮しても、多くの潜在保育士の復職が求められる今こそ、自分自身のライフスタイルやワークライフバランスに合わせて、好条件で保育士に復帰するチャンスだと言えるでしょう。
復帰のポイント
ブランクがあるとはいえ、保育士としてのキャリアは再就職への大きな財産です。面接でも、今までどんな経験を積んできたのか、しっかりとアピールしましょう。
しばらく現場を離れていると、忘れていることやできないことばかりが気になるものですが、保育士としてのスキル、得意なこと、クラス担任や後輩育成の実績など、詳細を説明します。
ブランクのある保育士の場合、以前の職場を離れた理由や、保育士をやめていた理由はかならず面接で尋ねられるでしょう。
仕事がいやになった、人間関係に疲れたなど原因はさまざまですが、ネガティブなことを並べるのは得策ではありません。
そのような退職理由があったにもかかわらず、やはりもう一度子どもたちとかかわりたいと思ったポジティブな熱意をアピールすることがポイントです。
他業種では、結婚や出産・育児のために仕事を離れた場合、再就職が不利になる業種もありますが、保育士の場合は、自身の育児経験を強みにできます。
子育てで悩んだからこそ、保護者の相談に親身に対応できるというメリットを伝えましょう。
また、保育士とはまったく異なる仕事に従事していた場合も、けっしてその経験は無駄にはなりません。保育園を利用する保護者のほとんどは、保育士以外の仕事をしているからです。
ブランクのあいだに他業種の仕事を経験したことで、かえって視野が広がり、保護者の気持ちに寄り添える保育士に成長していることでしょう。それは、保育士復帰のための面接において、最大のアピール材料なのです。